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  • 執筆者の写真星 和真

【ある日のぼやき】

更新日:2022年7月3日



お晩です。



連日激アツですね。




僕は個展あたりからできた口内炎の痛みと闘いながら過ごしてます。くれぐれも体調には皆さんも気をつけてください。







実は今日、次の制作に向けて約1年半前に描いた絵を引っ張り出しました。


こちらの作品です。













ある公募展に向けて真冬に描いた絵です。モチーフはアンデスコンドル。


タイトルは《 強く 》という40号の作品です。



去年から現在のスタイルを知る人からしたらびっくりするかもしれませんね。かつてはこういう絵を描いてました。



当時は会社員だったので朝晩朝晩…ってサイクルで時間を作っては制作をしていました。冬ということもあり一瞬で膠が固まって何度も鍋で温めていた思い出があります。






久しぶりに梱包材から絵を出した時、結構度肝を抜かれました。


自分で言うのもなんですが、迫力があります。

塗り重ねた岩絵具が日差しに照らされキラキラとしていてとても綺麗でした。





名残惜しさもありますが、次の制作のためと思い絵をパネルから剥がす作業をしていきました。


額縁を外した後、パネルの端から切り口を入れ

そこにカッターの刃を差し込んでいきます。


カッターの刃で紙を切っていくと、画面の端の方の絵の具にヒビが入りました。そしてその絵の具が床にポロポロと剥がれ落ちていきます。


僕はそれを見ながら更に刃を差し込んでいきました。


するとどうしてか淋しいような何とも言えない気持ちが込み上げてきました。


そして公募展に落ちた日のことを思い出しました。




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「これに賭けよう」と思って取り組んだ作品。


働きながらでも絶対度肝抜かせてやろうと思って描いた絵だった。




しかし、結果は落選。


どん底に突き落とされた気持ちになった。



あと何度この想いを味わえばいいのだ。



そう思うとなぜか、お世話になった人たちの顔が浮かんだ。



学生時代は公募で落選しても周りには仲間がいた。


気づかなかったが、それに支えられていたのだ。



でも、もう周りには誰もいなかった。




あるのは打ち付ける雨と水溜りに映る自分自身だった。


そして雨の日のバス停で僕は一人涙を流した。





ここで初めて挫折を味わった。



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絵を久しぶりに見ると、当時の心境がひしひしと伝わってくるようです。


公募に落ちたのはとてつもなく悔しかったけれど、それがあったから画材を変えたりテーマを変えたりして自分から個展まで開けるようになりました。


そして一周回ってまた日本画材に戻ってきています。



この挫折があったから今があるのだと


この絵があったから今があるのだと


そう強く思えます。



今日久しぶりに絵を見て、そこにはかつての自分の確かなエネルギーを感じ取れました。


当時はもっと漠然としていたけれど、目指しているものは今もずっと変わりません。


今もこうして這いつくばって絵を描けていることに感謝しなければいけないですね。



剥がした絵は大切に保管したいと思います。

このエネルギーを次の作品に活かしたいです。





今日はこんな少し辛気臭い話でした。


しかし、どんなにスタイルや表現方法が変わっても作ったものには何かしらの想いが湧いてしまうのかもしれないですね。






それでは今日はここまでにしたいと思います。




読んでいただきありがとうございました!

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