今回は個展のタイトルでもあるBirdについて書いていきたいと思います。
なぜBirdにしたかという理由を述べていくため以下に文を載せます。
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“ Bird=鳥 ”というタイトルは自分の体験をもとに決めたものである。
今回描いた鳥達は象徴的なものとして、シンボル的なものとして描く事を心がけている。より鑑賞者にも、そして自身も絵の世界に入れるように描写を省き大胆なフォルムと重厚感のある絵肌にしようとした。
5月に帰省した際、一羽の鷹と出会いその存在に強く惹き込まれてしまった。そして理由はわからなかったがとにかく表現しなければ、描かなければと確信した。
当時、自分の中には様々な葛藤があった。
会社員を辞めて本当にやっていけるのか?
日常や生活をテーマとした絵を描き続けていいのだろうか?
長引くコロナウイルスの流行
戦争による不安定な社会情勢…
先の不透明な毎日に不安を感じずにはいられなかった。
そうした中だったが、6年ぶりに栃木の実家に帰省をして田植えを手伝うことになる。
山、川、土、生き物
その全てがどこか忘れていたような懐かしい感覚。
土に汚れ、川の流れと冷たさを感じ、山々と青く広がる空、そして空気を身体で感じた。
これだけでも抱いていた不安が浄化されていくように感じられた。
しかしそんな時、1匹の鷹に出会う。
この出来事が全てを決定づけた。
空を優雅に羽ばたいていく姿を見た時、私は抱いていた様々しがらみから解放させてくれるような感覚がした。
どれだけ自分がちっぽけなことで悩んでたか?
それを痛感させられたのだ。
私はその一羽の鷹に威厳さと神秘を感じた。
これが探し求めていたものなのだと強く思った。
美術、アート、生活、暮らし、社会、デジタル…。どれも大切な要素である。
だがそれらではなく、今感じているほとばしるこの想いをただ猛烈に描きたい。
忘れていたような、懐かしいような、ずっと前から抱いていたような感覚だった。
それはもしかしたら壁画を描いていた原始の時代から私たち人間が秘めているものかもしれない。
原始のヒトは自然と生き物を畏れ敬い、その存在を壁や岩に彼らの存在を描いたのだ。図書館で彼らの壁画資料を見る度に私は共通の何かを感じずにはいられなかった。
これに気づかせてくれたのが一匹の鷹だった。
だから今回、この想いを彼ら = 鳥に思い切りぶつけてやろうと思った。
綺麗に描くとか美術がどうとか日本画がどうとかではなく、そうすることで自分ともう一度向き合おうと思った。
去年の公募展の挫折からもがき続け、道を見失っていた自分と。
かつて使用していた日本画材に立ち返り、
人間として、彼らと、そして己自身と対峙しようと思った。
それがBirdをテーマにした理由である。
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5月の体験については展示会場に掲示しているためそちらを是非見ていただければ幸いです。今日は大事なところを文にしたのでこのような形で投稿しました。拙い文ですが読んでいただきありがとうございます。しかしこの展示は自分にとって新たな門出とも言えるものになりました。
個展は残り2日。
会場でお待ちしております!
是非お越しくださいませ
「 Bird 星 和真個展 」
2022年6月21日(火)ー26日(日)
10:00~18:00
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