お晩です。
明日はついに大晦日ですね。
年末の独特な雰囲気は一体何なのでしょうか?
そんなことをぼんやりと考えたりしています。
実はクリスマスあたりから風邪を引いてしまい数日寝込んでいました。現在はほぼ回復していて、個展に向けての制作に戻り始めています。
本当は帰省を予定していたのですがコロナやインフルも流行っていることもあり、今回は見送りました。春くらいに栃木に一度戻れれば…と考えています。
今年は絵に本腰を入れた一年でしたが、その傍らで今までにないくらい本を読みました。
読書をほぼしなかった自分がこんなに本を読んだことには驚きです。
今日はそんな中で特に印象に残った5冊をまとめてご紹介していきたいと思います。
① 岡本太郎『自分の中に毒を持て』(青春出版社、2017年)
最近展覧会も行われていた岡本太郎の名書中の名書。語り口調で書かれているためとても読みやすい本です。それもあって一言一言がとても強く心に響きます。
「芸術は爆発だ!」
というイメージが一人歩きしてしまいがちな岡本太郎ですが、読んでいくと繊細で一人の人として文を書かれていることに気づかされます。
「己が最大の味方であり、また敵なのである。」
何かつまづいたことがあった際に読み返したくなる一冊です。
②藤井一至『大地の五億年』(ヤマケイ文庫、2022年)
ネットでなんとなく気になって購入しましたが、読んでみるとびっくり。読み終わった時は世界がひっくり返ったような感覚がしました。
この本は土壌学者である藤井一至教授が“ 土 ”を通して地球の歴史、人の文化、そして現代社会が抱える問題にまでアプローチをしていく本です。地球が何億年にも渡って自然環境のギリギリのせめぎ合いの中で少しずつ形作られてきた大地。それを一瞬で掘り起こし、開拓し、整備をして何不自由なく過ごしていることがどういうことなのか?改めて考えさせられました。
③ 栗栖健『日本人とオオカミ 世界でも特異なその関係と歴史』(雄山閣、2004年)
9月の個展の際にオオカミをテーマに絵を描いたため、関連の本を幾つか読みました。その中でもこの本を読んでいる時の高揚感は忘れられません。
日本におけるオオカミ観は大きく2つ存在し、それがどの様に現在に至るまで変遷を遂げてきたのかが書かれていました。日本では絶滅してしまったオオカミですが、人が生活や精神面でどれだけ関わり合いながら生きていたのかを考えさせられます。
生物学だけでなく世界史、民俗学、地理、歴史、芸術などの分野を横断しながら語られていくためとても勉強になる一冊です。
④池田清彦『38億年生物進化の旅』(新潮文庫、2012年)
地球誕生から46億年。そして生物進化の38億年の流れをなんと約200ページにまとめあげるという偉業を成し遂げたとんでもない本です。
原子単位からの生物の発生の痕跡、繁栄と絶滅、そして現在までの進化の歴史がとてもわかりやすくまとめられています。生物学系の本を読む際はすべての基盤になるであろう一冊ではないでしょうか。
この本を読んだ後だと人類の進化の歴史はほんと一瞬のことなのだなと思えてしまいます。
⑤レイチェル・カーソン 上遠恵子訳『潮風の下で』(岩波現代文庫、2012年)
殺虫剤や農薬の危険性を訴えた名書「沈黙の春」で著名の海洋生物学者レイチェル・カーソンが水辺の生き物たちに焦点を当てて書かれた本です。
“海”を大きな題材に生き物達の物語が驚くほど美しく、鮮明に描かれています。生物学者が描いたとは思えないほどの作品ですが、カーソンの徹底した研究の下でなければこの物語を生み出すことができなかったであろう一冊です。
次の文が個人的に印象に残っています。
「海が失うものはなにもない。あるものは死に、あるものは生き、生命の貴重な構成要素を無限の鎖のように次から次へとゆだねていくのである。」
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以上が今年読んだ本の個人的5選でした。
民俗学、生物学系の本が多かったです。
本は購入することもありますが、最近は図書館をフル活用して読んでいます。
図書館も場所によって個性があって蕨、川口、戸田あたりを回っています(特に戸田中央図書館がすごい…)。
ちなみに今現在読んでいる中沢新一『芸術人類学』(みすず書房、2006年)はこの中に食い込むくらい面白いのですが、まだ序盤なので年末年始にでも制作の合間に読んでいこうと思います。
いかかでしたでしょうか。
来年も同じように合間を縫って本を読んでいきたいです。次は芸術関係か南方熊楠あたりの本を攻めようかと考えています。お勧めの本があれば是非教えていただけると嬉しいです。
明日は今年の振り返りをあげる予定です。
では、今日はこのあたりで👋
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